民泊新法と法的な決まり
「民泊新法」とは
住宅宿泊事業法
従来の旅館業法で定める4つの営業形態(ホテル営業、旅館営業、簡易宿泊所営業、下宿営業)や国家戦略特別区域の特区民泊に当てはまらない、新しい営業形態である「住宅宿泊事業」に関して規定する法律です。
2017年6月9日に住宅民泊事業法(民泊新法)が成立しました。
「住宅宿泊事業法(民泊新法)」の対象となる民泊サービスは、「旅館業法」の対象外となる条件として、「人を宿泊させる日数として国土交通省令・厚生労働者省令で定められるところにより算定した日数が一年間で180日を超えないもの」とされています。
年間営業日→180日間
民泊以外の活用方法がなければビジネスや投資は難しく、「家主居住型民泊」と「家主不在型民泊」の以下、二つに分かれます。
●家主居住型民泊
・個人の生活の拠点である。
・提供日に住宅提供者も泊まっている。
・年間提供日数などが一定の要件を満たす。
●家主不在型民泊
・個人の生活の本拠ではない、または個人の生活の本拠でも家主が提供日に不在。(法人所有のものも含む)
・年間提供日数を満たす。
・提供する住宅において「民泊施設管理者」が存在すること。
(登録された管理者に管理委託、または住宅提供者本人が管理者として登録)
【定義】
旅館業を営む者以外の者が、宿泊料を受けて住宅に人を宿泊させる事業、人を宿泊させる日数が一年間で180日を超えない宿泊形態。
【営業日数の上限】
年180日以内(※条例でさらに制限可能)
【最短宿泊日数】
1日より可
【住居専用地域での営業】
○(条例で制限あり)
【建物の用途変更】
不要
【居室の最低床面積】
制限なし
国家戦略特区法(特区民泊)
国から国家戦略特区と指定された自治体で、さらに民泊条例という条例を制定している自治体の中で営業ができるタイプの民泊で、
特区民泊を行うには行政の認定が必要となります。
【定義】
国家戦略特別区域法に基づく旅館業法の特例制度を活用した宿泊形態
【営業日数の上限】
制限なし
【最短宿泊日数】
2泊3日以上
【住居専用地域での営業】
○
【建物の用途変更】
不要
【居室の最低床面積】
25㎡以上
旅館業法(簡易宿泊所営業)
旅館業法とは、「宿泊料(※1)を受けて人を宿泊(※2)させる営業(※3)」と定義されており、旅館業法には4つの形態の旅館業(※4)が定義されている。
「民泊(※5)」という形態はないため4つの中で一番近い「簡易宿所」での営業許可を取得することも可能。
●ホテル営業
洋式客室を主体とする宿泊施設。
※レストランや食堂で食事を提供できる宿泊施設として規定されているケースが多い
●旅館営業
和式客室を主体とする宿泊施設。
※ロビーまたは食堂を有する場合には利用者のように共にするための共同用の便所を有することといった規定を定めている場合はある。
●簡易宿泊営業
客室を多数人で共用する宿泊施設。(ユースホテル・カプセルホテル等)
戸建てで民泊を始めたいという場合ほとんどがこの「簡易宿所営業」になる。
●下宿営業
一ヶ月以上の期間を単位とする宿泊施設。
1泊2日のような短期の滞在を前提としている民泊では下宿営業の許可は取れない。
【定義】
宿泊料を受けて人を宿泊させる営業
※旅館業法には4つの形態については、上記をご参照ください。
【営業日数の上限】
制限なし
【最短宿泊日数】
制限なし
【住居専用地域での営業】
×
【建物の用途変更】
100㎡以上だと要
【居室の最低床面積】
33㎡以上
※1 宿泊料…寝具や部屋の使用料
宿泊料以外の名目であっても実質的に部屋の使用料とみなされる場合は宿泊料になり旅館業の許可が必要となる。
※2 宿泊…寝具を使用して施設を利用すること
※3 営業…社会性を持って継続反復されているもの
“社会性をもって”とは社会通念上、個人生活上の行為として行われる範囲を超える行為として行われるものと定義されている。
ビジネスとして行なっていると判断されるものは“社会性をもった行為”となる。
※4 「旅館業」とアパート等の「貸室業」の違い…施設の衛生上の管理責任者
※5 「民泊」と「民宿」の違い…
・民泊:一時的に一般家庭で旅行者を受け入れること
・民宿:反復継続して有償で部屋を提供すること
民泊新法のメリット・デメリット

住居宿泊事業法 メリット/デメリット
●メリット
・届出制の為、手続きが難度が易い
・住居専用地域でも営業が可能
・住居としてもすぐ転用可能
●デメリット
・年180日以内(条例で制限➕)
・家主不在型の場合、管理業者への委託必須
国家戦略特区法 メリット/デメリット
●メリット
・年間を通じて運用できる(2泊3日以上〜の制限有)
・住居してもすぐに転用可
●デメリット
・許可制の為手続きが難度上がる
・運用可能なエリアが限定
・都度契約書の締結が必須
旅館業法 メリット/デメリット
●メリット
・年間を通じて運用できる(1日〜)
・どんな媒体でも集客可
●デメリット
・許可性に加え、許可取得の難易度が高い
・初期投資額が大きい

いかがでしたでしょうか。
いよいよ「民泊」に関するルール「住宅宿泊事業法」が成立されました。
今までは禁止されていた住居専用地域で民泊営業ができるようになるなど、全く新しいビジネスとして「民泊ビジネス」が生まれようとしています。
今回の「住宅宿泊管理業」というビジネスも、民泊ビジネスに伴った新しいビジネスです。
こういった新しいビジネスチャンスを活かして、いろいろな業界が活性化されることも期待できると思います。
ただ、反面、近隣住民の方々への迷惑がかからないような仕組み作りも必要になってきます。
「事業者」「宿泊者」「近隣住民」の三方よしとならなければ、いつか歪が大きくなり、大きな問題が発生してしまうと思います。
合法かつ三方よしとなるような「民泊ビジネス」を目指しましょう。