近所の人たち
民泊運用にあたって重要なポイントになる近隣住民の理解
どのように理解を仰げばいいのか。審査基準なのか?
近隣住民への周知は、特区民泊の「審査基準」ではありません。
特区民泊の審査基準は、特区法施行令12条で規定されていますが、そこには近隣住民への周知義務の規定はありません。
もっとも、審査基準でないからと言って無視できるかというと、そうゆうわけでもありません。
特区民泊における周知義務は、審査基準ではありませんが許可取得に大きな影響を与える一つの「指針」です。
近隣住民への周知の結果、反対者が一人でもいたら民泊ができないのか?と言われればそうではありませんが、マンションの住人の半数以上が民泊に反対とのことであれば、許可を取得・継続することは難しいだろう、というのが大田区の考えです。
そして、周知義務については許可基準、審査基準ではないが、ケースバイケースで具体的な事案ごとに対処をしていくというスタンスです。なんとも、ふわっとした感じですが、始まったばかりの特区民泊ではこうゆうケースが多々あります。
反対運動、近隣住民の半数以上が反対
では、実際に近隣住民の反対運動やマンション住人のほとんどが反対した場合にはどうなるのでしょうか。
この場合、既に民泊許可を取得している場合は許可取消対象に、民泊許可申請中の場合はおそらく不許可となります。
根拠は、こういった場合は特区法13条9項3号「政令で定める要件に該当しなくなったとき」にあたるからです。
大田区のガイドラインには、近隣住民とのトラブルから外国人滞在施設経営事業が円滑に運営できなくなり、その結果として施設の滞在者の平穏な滞在に支障が生じるに至った場合等には「政令で定める要件に該当しなくなったとき」にあたります、との記載があります。
ようするに、ゲスト旅行者が反対運動のせいで平穏な宿泊ができなくなった場合には、許可を取り消します、ということです。
この、特区法の規定と大田区によるガイドラインの解釈によって実質的に周辺住民の理解なしには特区民泊はできなくなります。
特区民泊をお考えの方は、その点について注意が必要です。ただ、周知すれば良いというわけではありません。
周知方法について

周知方法はポスティングで構いません。
対面での周知ができればより良いでしょうが、ポスト投函で構わないとのことです。
周知事項
基本的には以下の事項です。
・申請者の氏名
・施設の名称、所在地
・苦情窓口の連絡先
・廃棄物の処理方法
・緊急時の対応方法
周知時期
周知時期、周知期間についての決まりはありません。
ポスティングしてから1日後に申請しても良いですし、1週間近隣住民の反応を待ってから申請しても良いとのことです。
近隣住民からの良い反応が期待できないのであれば、ポスティング後、少し間を空け、良くない反応にしっかりと誠意をもって対応した後に申請するほうが良いでしょう。いずれにしろ、申請されてから許可がおりるまでに時間がかかるわけですから、近隣住民からの反応を待たずに申請しても、反対運動が起きれば同じことです。
近所迷惑を減らす3つの対策
民泊に関することで、近所迷惑にならないようにホストが事前にできることはたくさんあります。以下を確認してください。
対策1: ルール設定
まずは、近所迷惑を未然に防ぐためにルールを設定する必要があります。
多くの物件ではパーティ利用を禁止していたり、物件内での喫煙を禁止するなどクレームにつながらないようなルール設定をしています。また、厳しく取り締まるためにも罰金制度を設けているホストもいます。
それ以外にもチェッイン時間を近所迷惑にならない時間に設定したり、ハウスガイドに多言語で細かくルールを記載するなどして近所迷惑を未然に防ぐ対応をしましょう。
対策2:予約時の確認
予約を受け入れる段階でどういった目的で利用するかを聞いたり、事前のメッセージで決められたルールに同意してもらえるかを確認することも大事です。予約前のメッセージでルールに同意して、万が一ルールを守らなかったゲストがいた場合には費用を請求することができることがあります。
近隣だけではなくゲストとの近所迷惑を防ぐためにも予約確定前のルール共有などはしっかりと行うといいでしょう。
対策3: 張り紙の設置
ハウスガイドだけではなく部屋に張り紙を貼って再度周知をしましょう。
禁煙やごみの分別方法、21時以降は静かにしてくださいなどの、ハウスガイドに詳しく書いた内容を簡単な絵を添えて張り紙にするとゲストもわかりやすく理解できます。
ハウスガイドを見ないゲストもいるので張り紙は貼ったほうがいいでしょう。
世界共通で理解できるイラストや絵があるとより良いでしょう。
迷惑だと思われがちな民泊ですが、きちんと管理をすれば近所迷惑を未然に防ぐことはできます。
しかし、こういった対策をしていてもクレームや近所迷惑は発生します。その際には適切な対応をして近隣の方を不安にさせないのもホストのすべきことの一つです。
民泊を始めたから放置ではなく近隣住民のことも考えて運営をしていく必要があります。
実際に警察が関与してくるケースもあるのでこういった対策はしっかりとしておきましょう。
近隣住民の理解があってこそ良い民泊運営に繋がるので 民泊を利用するゲストも含め皆が気持ちの良い環境を作るよう心がけましょう!